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Mercedes-Benz 1997年式SL500(R129)
高い技術力で完成した世界一安全なオープンカー
1989年に登場し日本へは1991年から導入された第4世代のSLクラス。最大の特長はトップが電動化されたことで、複雑な油圧シリンダーの組み合わせによってソフトトップの開閉はスイッチ一つで完了する。
横転時に飛び出すロールバーや強靱なフレームを持つシートに内蔵されたベルトなど、安全装備の充実も目覚ましいもので、当時「世界一安全なオープンカー」と呼ばれていた。
モデルライフの中で、エンジンなど様々な部分を変更しているのもR129の特徴。例えば、1991年に横滑り防止装置であるASRを標準装備し、1993年にはSL○○○に名称を変更し、オドメーターをデジタル化するなど小変更を実施。1995年にはバンパー形状を変更し、サイドエアバッグを搭載。1998年には搭載エンジンを次世代のSOHC3バルブに変更。キセノンライトを装備し、ミラーのデザインも変更された。
このように年式による違いが大きいのがR129型SLクラスの特徴で、結果的に12年間のロングランとなったモデルである。
取材した97年式のSL500は人気のポーラホワイトのボディ。端正なルックスで、塗装などのコンディションも良い。基本的にはノーマルなのでそのまま素の良さを楽しんでもいいし、AMGパーツなどを装着してグレードアップさせるのも面白そう……など色々と妄想が膨らんでしまう。 ソフトトップやハードトップのコンディションも良く、トラブルが発生しやすいオープンシリンダー回りもオーバーホール済みとのこと。ちなみに、ハードトップを装着していない時には保管場所が必要になる。あくまでもこのハードトップは屋根のように別体になっているのがこの時代のSLクラス。また、ハードトップは重量が重いということも忘れないようにしたいが、ハードトップを装着したクーペスタイルもまた味わい深く、所有する満足感を得られる。
インテリアはシックな印象でセンターコンソールには上質なウッドパネルが装着される。ASRなどの安全装備が搭載され、運転席、助手席ともにエアバッグが付く。
SLクラスは、歴代モデルを見ていけば分かるように希少価値という面で高まりやすいモデル。2代目のW113はタテ目クラシックの代表的な存在で1000万円以上のプライスが付くほど高値で取り引きされているモデル。3代目のR107も相場が上がってきており、500~800万円。そして4代目がここで紹介しているR129だが、こちらも年々相場が上がっているという状況だ。希少性かつメルセデス・ベンツが誇る2シーターのスペシャリティというキャラクターが、歴代SLクラスの価値を高めるポイントになっているのだ。
R129型はまだまだ現実的な予算で狙えるSLクラス。ネオクラシックな雰囲気を醸し出しながらも、その走りや安全性は現代でも十分に通用するレベル。さらに維持の面にもおいても難しくないのが、R129の中古車として魅力といえる。
様々な実験、テストを経て完成した安全システム
実車を使った実験など様々なテストを経て完成したオープンカーの安全システムは注目すべきポイント。横転を感知すると自動的に飛び出す可動式ロールバーやシートとシートベルトが一体になった構造など、当時として最先端の技術を盛り込んでいる。こういった技術はその後も応用されて使われるなど、当時のメルセデスの技術力の高さがうかがえる。中古車となった現在、トラブルが多いといわれるオープントップシリンダーがオーバーホール済みというのも安心感が高い。
【U-CAR DATA】1997年式SL500
●オープンシリンダーオーバーホール済み ●ディーラー車 ●記録簿 ●価格:300万円