個性を全面に打ち出す
BMWのSACとSAV
日本市場はもとより、今や全世界的に吹き荒れている「SUV&クロスオーバー」の大潮流。欧米の自動車メーカーはこぞって、SUVをリリース。ポルシェやマセラッティはすっかりおなじみになったし、最近ではアルファロメオやランボルギーニ、ベントレーまでSUVモデルを発表している現状だ。
我らがジャーマンカー、メルセデスやBMWも他メーカーに先駆け、2000年前後から本格的にSUVのリリースを開始。そして今や、メルセデスはGLシリーズ、BMWはXシリーズで、コンパクト系からハイパフォーマンス系まで揃えるほど、そのラインナップを充実させている。もちろん、今後も新モデルはどんどん追加されそうだし、他メーカーもよりいっそうの車種強化にのぞんでいくだろう。
そんな中、今回BMW Xシリーズ「X2」にあらためて、じっくり試乗することができた。’18年4月、日本でデリバリーが開始されたX2は、いわゆる「SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)」のコンパクトセグメント。つまりX5/X3/X1が「SAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)」とカテゴライズされるのに対し、X6/X4からの流れをくむモデルで、たとえばそのスタイリングも、リアセクションが流麗なクーペ風にデザインされているのが特徴なのだ。
X2のラインナップは2WD/1・5ℓ搭載の「sDrive18i」系と、4WD/2ℓ搭載の「xDrive20i」系を軸として、2ℓディーゼル搭載の「xDrive18d MスポーツX」、2ℓ搭載のハイパフォーマンスMスポーツモデル「M35i」などを揃えている。このうち今回は、sDrive18iにスポーティな専用装備を充実させた「sDrive18i MスポーツX」に試乗する。
XシリーズなのにFFモデル……とは、ちょっと残念な気がするが、走りの部分の不満はほとんどなし。コンパクトな1・5ℓエンジン(直列3気筒!)ながら、ターボ付きで1.5トンのボディには十分すぎるほどの140馬力を発揮。トルクは1480~4200rpmの広い回転域で最大トルク22.4㎏‐mを発揮するので、高速クルージングのどんなスピード域からでも鋭い加速を見せてくれる。7速DCT(ダブル・クラッチ・トランスミッション)のエンジントルクのピックアップもよどみなく、加速減速、再加速と、すべてのフィーリングが滑らかだ。
もちろんハンドリングも、しっかりBMW流。ハイウェイ・クルージングからのレーンチェンジも、高速ワインディングのS字コーナーも、ステアリングアクションに的確に反応し、姿勢をピタリと決めてくれる。タイヤもオンロードスポーツタイプで、スポーティな走りが楽しめるのは、上位モデルと変わりない。
ただ、X2の場合、SUVではなく、あくまで「SAC」。ラフロードや雪道はちょっと苦手そうだが、クロスオーバーモデルのように、都会的なイメージでオシャレに乗りこなすのが、このクルマにはよく似合う。
Specifications sDrive18i
全長 4375㎜
全幅 1825㎜
全高 1535㎜
ホイールベース 2670㎜
トレッド(前) 1565㎜
トレッド(後) 1560㎜
車両重量 1500㎏
エンジン方式 直3DOHC+T
総排気量 1498㏄
最高出力 140ps/4600rpm
最大トルク 22.4㎏-m/1480~4200rpm
トランスミッション 電子制御式7速DCT
新車時価格(税込) 439万円
Mechanism topic
前方衝突を回避・被害を軽減する安全システム
X2にはドライビングアシストという最先端の安全テクノロジーを搭載。前車接近・衝突回避・被害軽減ブレーキ機能は先行車に接近し過ぎるとメーターパネルとディスプレイに警告灯が点灯、急速に接近した場合は緊急警告灯と警告音が鳴り、ブレーキの急作動にシステムが備える。さらに衝突が不可避と判断されると、自動的にブレーキをかけて被害軽減を図る。