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2021.03.25

Audi TTに乗って想うAudiの底力

 アウディは革新を続けながら進化を続けているメーカーだ。昔からフロントサスペンションに4リンクという凝った形式を採用して安定性や操縦性を高めていたり、アームの素材にアルミを用いて軽量化し出したのも比較的早かった。近年においてはデザインが洗練され、多くのファンを獲得している。アウディというとフルタイム4WDであるクワトロが有名だけれど、それ以外にもドイツ車らしい技術が多数盛り込まれている。

伝統を受け継ぎながら最先端の技術で進化を続けている

 シングルフレームグリルやLEDのポジションランプなど、新世代アウディのフロントマスクを纏って進化した2代目TT。現代のアウディらしい革新のデザインによる存在感は、所有する満足感を高めてくれるものだ。
 革新と進化を続ける現代のアウディに過去のモデルを照らし合わせることは難しいのだが、2代目TTにはフルタイム4WDである伝統のクワトロシステムが搭載されている。その高い走行安定性は、まさにアウディらしいフィーリング。リアには可変式のスポイラーを装着して空力性能も高めている。
 TTに搭載されるTFSIエンジンは、直噴とターボの組み合わせによって効率化を果たした現代の名機と言えるもの。2ℓのTFSIエンジンは「エンジン・オブ・ザ・イヤー」に何度も輝くなど、世界で認められた技術が盛り込まれているのだ。
 トランスミッションはデュアルクラッチを持つ6速タイプのSトロニックで、滑らかな変速を実現する最新のメカニズムを採用している。ステアリングに備わるパドルスイッチを使えばスポーティな走りを楽しむことができる。
 サスペンションはフロントがストラット、リアが4リンク。ドイツのコンパクトカーとしては一般的なものだが、ショックアブソーバーには凝った技術が搭載されている。
 オプションで設定されているアウディマグネティックライドは、ショック内部に磁性流体を含むフルードが使われている。磁性流体とは磁力で反応する液体のことで、NASAのスペースプログラムで開発された最先端技術の結晶でもある。このフルードに電圧がかかると減衰力が変化する仕組みになっていて、ノーマルモードでは快適な乗り心地、スポーツモードでは硬めのセッティングでロールを抑えるなどの制御を実現している。アルミを使って軽量化されたアーム類によってバネ下重量を低減させているのも、操縦性を高める上では重要なポイントだ。
 さらに2代目TTには、最高級サルーンであるA8に採用されるASF(アウディ・スペース・フレーム)を採用。フロントセクションに軽量なアルミを用いることで、クルマ全体の軽量化を実現しているのだ。全体としてはアルミが68%、スチールが32%となっていて、強度が必要になる部分にはスチールが使われる。
 直4ターボを積み、プラットフォームを共有するVWゴルフⅤよりも100㎏近く軽いのは、このASFを採用していることが大きい。軽量であることは軽快な走りを実現するだけではなく、燃費性能にも大きな影響を与えるのだ。最先端の技術と伝統のメカニズムを融合して、大きな進化を遂げた2代目TT。クワトロによる安定感の高い走りを楽しめるのも魅力である。
 現代のアウディの人気がひときわ高くなっているのも、こうした伝統の技を熟成させながら、革新の技術で進化しているからだろう。洗練されたデザインも含めて、現代のアウディの魅力を楽しめる2代目TT。リーズナブルな価格も相まって注目のコンパクトカーである。

最上級となるのが3.2ℓのV6ユニット。このほかにも1.8ℓ、2ℓの直4ターボなど、豊富なラインナップとなっている。
オプションとなるアウディマグネティックライド。ショックアブソーバー内部で循環するフルードは、磁性流体粒子を含む特殊なもの。電圧をかけることによって減衰力が変化する仕組みだ。好みに合わせてセッティングを変えることができる。
円をモチーフとしたオシャレな雰囲気を持つインテリア。質感も高くドイツ車らしさを存分に味わえる。トランスミッションは6速のSトロニックを搭載する。軽快な走りを楽しめるコンパクトスポーツである。

ボディバリエーションは、ロードスター、クーペのほか、高性能モデルのТТ RSをラインナップしている。