TOP > 記事 > BMW X2に乗って想うBMWの底力
X2

2021.03.09

BMW X2に乗って想うBMWの底力

 近年、世界的流行となっているSUVというジャンル。車高が高いクルマはセダンやワゴンに比べて安定性や操縦性にデメリットがあると言われてきたが、今ではそれを革新の技術でカバーでき、洗練されたデザインと相まってスタイリッシュなクルマとして人気を集めている。BMWではXシリーズを用意するが、SAVやSACという独自の呼称がある。その理由こそがBMWが求める走りの秘密に繋がっている。

BMW流のハンドリングをFFモデルでも実現している

 日本市場はもとより、今や全世界的に吹き荒れている「SUV&クロスオーバー」の大潮流。欧米の自動車メーカーはこぞって、SUVをリリース。ポルシェやマセラッティはすっかりおなじみになったし、最近ではアルファロメオやランボルギーニ、ベントレーまでSUVモデルを発表している現状だ。メルセデスやBMWも、他メーカーに先駆け、2000年前後から本格的にSUVのリリースを開始。そして今や、メルセデスはGLシリーズ、BMWはXシリーズで、コンパクト系からハイパフォーマンス系まで揃えるほど、そのラインナップを充実させている。
 そんな中、今回、BMW 「X2」にあらためて、じっくり試乗することができた。’18年4月、日本でデリバリーが開始されたX2は、いわゆる「SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)」のコンパクトセグメント。つまりX5/X3/X1が「SAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)」とカテゴライズされるのに対し、X6/X4からの流れをくむモデルで、たとえばそのスタイリングも、リアセクションが流麗なクーペ風にデザインされているのが特徴なのだ。
 X2のラインナップは2WD/1・5ℓ搭載の「sDrive18i」系と、4WD/2ℓl搭載の「xDrive20i」系を軸として、2ℓディーゼル搭載の「xDrive18d MスポーツX」、2ℓ搭載のハイパフォーマンスMスポーツモデル「M35i」などを揃えている。このうち今回は、sDrive18iにスポーティな専用装備を充実させた「sDrive18i MスポーツX」に試乗する。
 XシリーズなのにFFモデル……とは、ちょっと残念な気がするが、走りの部分の不満はほとんどなし。コンパクトな1・5ℓエンジン(直列3気筒!)ながら、ターボ付きで1・5トンのボディには十分すぎるほどの140馬力を発揮。トルクは1480~4200rpmの広い回転域で最大トルク22・4㎏‐mを発揮するので、高速クルージングのどんなスピード域からでも鋭い加速を見せてくれる。7速DCT(ダブル・クラッチ・トランスミッション)のエンジントルクのピックアップもよどみなく、加速減速、再加速と、すべてのフィーリングが滑らかだ。
 もちろんハンドリングも、しっかりBMW流。ハイウェイ・クルージングからのレーンチェンジも、高速ワインディングのS字コーナーも、ステアリングアクションに的確に反応し、姿勢をピタリと決めてくれる。タイヤもオンロードスポーツタイプで、スポーティな走りが楽しめるのは、上位モデルと変わりない。
 ただ、X2の場合、SUVではなく、あくまで「SAC」。ラフロードや雪道はちょっと苦手そうだが、クロスオーバーモデルのように、都会的なイメージでオシャレに乗りこなすのが、このクルマにはよく似合う。

SUVらしい無骨さを残しながら、ワイド感のあるエクステリアデザイン。都会的なイメージともうまく融合ししているのはデザインワークのうまさ。X2にはドライビングアシストという最先端の安全テクノロジーを搭載。前車接近・衝突回避・被害軽減ブレーキ機能は先行車に接近し過ぎるとメーターパネルとディスプレイに警告灯が点灯、急速に接近した場合は緊急警告灯と警告音が鳴り、ブレーキの急作動にシステムが備える。
取材車は直噴1.5ℓの直3DOHCエンジンを搭載。現代的なダウンサイジングエンジンである。この他、2ℓ直4DOHCに加え、ディーゼルエンジンも用意する。
ワイドディスプレイなどを備えたスポーティな雰囲気が漂うインテリア。取材車のATはツインクラッチ機構を持つ7速DCTを搭載する。
SACということで同クラスのSUVに比べると頭上スペースは狭いが、さほど気になるレベルではない。コンパクトカーであってもBMWらしい質感も高さがあるのがドイツ車の魅力。