ドイツ車のエントリーモデルとしてラインナップされているコンパクトカー。
ドイツ車らしい実用性はもちろん、高いブランド性とオシャレなデザインは所有する満足感を高めてくれる。加えて、新車でも身近になった車両価格はドイツ車ビギナーにとって魅力的なチョイスとなる。
ひと昔前はパワーやボディの大きさでステイタスを競っていた時代もあった。
確かにブランド性の高いドイツ車においては、ハイクラスのクルマに乗ってこそステイタスという考えが令和の時代になっても残っているようだが、今のトレンドは効率化やエンジンのダウンサイジング化が進み、排気量が小さくても十分なパワーを発揮できるほど技術の進化が目覚しい。
「クルマは軽くて、小さい方が楽しい」というのは、クルマ好きの間では常識。
そして何より、ボディはコンパクトであっても、ドイツのアウトバーンを何の不安もなく走れる高い安定性、洗練されたデザイン、最新技術による先端の安全性能はドイツの高級車ブランドの名に恥じないもの。
本特集では、そんなコンパクトカーの魅力に迫ってみたいと思う。
コンパクトカーの進化 ボディは小さくても中身は高級車!
近年のモデルでは内外装のデザインにも磨きがかかっているコンパクトカー。都会的でオシャレなデザインはとても洗練されており、メカニズム面においてもハイクラスに引けを取らない装備を持つようになっている。
●洗練されたエクステリアデザイン
●コンパクトでも高い安全性能を持つ
●実用性に優れたパッケージング
コンパクトカーでもSクラス並みの安全性能
メルセデス・ベンツが初めて小型車に取り組んだのが、83年に登場したW201こと190クラス。現在のCクラスの源流となるモデルだ。Sクラスユーザーのセカンドカーというのがコンセプトであったことから、その作りは非常に贅沢で、頑丈な骨格を持つボディや世界初のマルチリンク式リアサスペンションを搭載するなど、往年のメルセデスらしい作りがなされている。
98年には新時代のシティコミューターとしてAクラスが登場。二重構造のフロアによって衝突時のエネルギーを効率的に分散させ、Sクラスに匹敵する安全性を手に入れた。衝突実験を繰り返して膨大なデータを取り、たとえ大きなクルマと衝突したときにでも乗員の安全を守る。それが全長3・6mのコンパクトカーであっても貫かれているのが、メルセデス・ベンツの魅力なのである。
安全装備も上級車種並みに充実しており、Bクラスにはコンパクトクラスとしては初となるCPA(衝突警告システム)を搭載。これは前方を走るクルマや障害物と衝突しそうになったときに、アラーム音でドライバーに警告するものだ。さらに、ドライバーの注意力が低下したときに警告するアテンションアシスト、前方を走るクルマとの車間距離を自動で一定に保つディストロニックプラスなど、上級クラスと同等の非常に充実したものになっている。
実用性においても使いやすさを考慮したラゲッジスペースを持ち、AクラスやBクラスでは多彩なシートアレンジによって様々な用途に対応できるようになっている。
こうした高い安全性や実用性は昔からメルセデス・ベンツのイメージとして定着しているが、近年のモデルを見ると、洗練されたデザインによってオシャレなイメージも感じるようになってきた。
エクステリアは現行型A、Bクラスともにエッジの利いたスポーティなデザインになっているのが特長。とくに、ヘッドライトにLEDを用いてモダンな雰囲気を醸し出しているフロントマスクはアグレッシブな印象を際立たせている。
モデルごとに見ていくと、先代型Aクラスは実用性を重視したスタイルから、スポーティなハッチバックスタイルとなり大幅なイメージチェンジを果たしている。これまでのメルセデスにはなかった個性を打ち出したモデルだと言えるだろう。
先代Bクラスのコンセプトとしては実用性を重視したものだが、全高を低くすることでロー&ワイドな印象を与えるスタイリング。インテリアの質感も向上し、丸型のエアコン吹き出し口など初代に比べると非常にモダンなデザインでまとめられている。サイドウインドーが直角に近いデザインになっていることもあって頭上スペースは広く、居住性は抜群にいい。
こうした洗練されたデザインは所有する満足感を高めてくれるもの。加えて、Aクラスをベースにしたコンパクトセダン、コンパクトSUVのGLAなど、そのラインナップは豊富にあるから、好みのスタイルで探せるようになっているのも魅力だ。車両価格から見てもA、Bクラスは新車でも狙えるし、中古車価格もリーズナブル。そんな身近さもコンパクトカーの魅力なのだ。コンパクトクラスは気軽に付き合えるメルセデスとして注目のジャンルだと言える。