TOP > 記事 > 【維持で困った時に必ず役立つ! リペア&リビルトパーツ vol.2】高価な触媒はメンテついでの強化も可能 / GERMAN CARS アーカイブ/2022年10月号より抜粋

【維持で困った時に必ず役立つ! リペア&リビルトパーツ vol.2】高価な触媒はメンテついでの強化も可能 / GERMAN CARS アーカイブ/2022年10月号より抜粋

排気ガス浄化装置として搭載されている触媒は、新車から10年くらいが経過するとトラブルが出始める傾向が強い。車種や年式によって触媒の数は異なり部品代が高価なのがネックなのだが、それを解決する方法を解説しよう。

ココがPOINT!

劣化した触媒を取り外し、純正のケースにメタル触媒を埋め込む。ケースとの隙間もきっちりと埋まっているから、そこから排気が抜けるということもない。耐久性や性能も向上する。

触媒は熱に強いが衝撃には弱く崩れやすい

 新車から10年以上が経過すると、これまで手を入れてこなかった部分のメンテナンスが必要になってくる。ここで紹介する触媒もその一つだ。触媒が劣化すると、下回りから「カラカラ……」という異音が発生するようになる。この状態のまま走り続けると、触媒の破片がエンジンの燃焼室に回ってしまい重大なトラブルに繋がってしまうのだ。この異音がなぜ起きるのかというと、触媒自体の特性に原因がある。触媒は高温になった排気ガスが通過していくため熱に強いのだが、衝撃には弱いのだ。それゆえ、何らかの原因で触媒が崩れてしまうと、カラカラ……という異音を発生させるのである。
 そのため触媒からおかしな音が出たら、交換か修理が必要になる。一般的な方法は、純正品を使って交換することで手軽かつ確実な方法だ。クルマをディーラーや修理工場に預けるだけでいい。ただ、触媒は高価でクルマによって搭載されている数が違う。90年代中頃までの触媒はV型エンジンなら2つ、直列エンジンなら1つというのが定番だったが、近年はV型で4つ、直列で2つというのが主流になっている。これを交換する場合、例えばV型エンジンなら片側アッセンブリー交換となり費用は約40万円と痛い出費だ。
 中古品を使うという手もあるが、程度の良い触媒は人気が高く新品ほどではないものの中古品としては高め。トラブルが再発するリスクもある。社外品は車検をクリアできるかどうかが気になるところだ。
 触媒を修理するというチョイスもある。純正のケースはそのままに、中身を耐久性の高いメタル触媒に入れ替えるという方法だ。触媒としての排気ガス浄化性能を維持したまま耐久性が向上しており、費用もリーズナブルなのが魅力。ただし、マフラーに精通したショップでしっかりと作業しないと思わぬトラブルに繋がることもある。
 例えば、触媒を修理したと言ってじつは中身を抜いてしまっているケース。いわゆる触媒レスであり、これでは車検をクリアできないし環境にも悪い。また、溶接のクオリティが低いと排気ガスが漏れてしまうケースもある。状態がひどいと再修理が必要になることもあるのだ。そのため、触媒の修理は技術のあるマフラーの専門家に頼むことが重要なのである。
 技術のある工場では純正ケースを丁寧に分解して、メタル触媒の寸法も純正サイズにきっちりと合わせる。純正ケースは筒状ではあるが、車種によって形状が異なる。そのためメタル触媒を埋め込むと隙間ができてしまうのだ。このまま溶接すると隙間から排気ガスが抜けてしまうため、ここには専用の部品を製作して埋めているなど作りの良さを感じられる。また、本来なら排気のIN側だけを塞げばいいのだが、リア側も塞ぐことで、排気の乱流を防ぎつつ強度アップを図っているところもある。マフラーの専門家ならではの、見えないこだわりだと言えるだろう。
 高価な触媒だけに、リペアを活用するメリットは大きいと言える。

純正よりも耐久性が高いメタル触媒に交換する

メルセデス・ベンツ4代目Sクラス(W220)には触媒が4つ付く。左が第1触媒、右が第2触媒で、トラブルが多いのは第2触媒のほう。
劣化した触媒を取り外したところ。触媒は熱に強いが、衝撃には弱いのが特長。写真の触媒を見ると削れてボロボロになっている。
溶接のクオリティが低いと、排気ガスが漏れてしまうことがある。技術のあるところできっちりと修理しないと二度手間になる。工場選びは大切だ。
 
※全て GERMAN CARS 2022年10月号より抜粋。
相場や「現行型」「先代」などの表記は
全て2022年当時のもの