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趣味車の最高峰メルセデス・ベンツW124ビジネスから趣味まで堪能できる万能クラシック

W124シリーズならではの重厚なフィーリングに加え、直線的なボックス型のデザインでファンを魅了し続けているワゴンモデル。高い実用性も相まって、今でもファーストカーとして活躍しているヤングクラシックである。

1995y Mercedes-Benz E320W(S124)

今でも高い人気を誇る実用的なワゴンモデル

 発売当初からメルセデス・ベンツの優等生として世界的に人気があったW124モデルは、「贅沢な実用車」としての評価が高かった。そして生産終了から28年が経過した現在では、「贅沢な実用車」から「趣味車の最高峰」とも言える存在となり、その人気は衰えることはない。

 とはいえ、経年劣化や走行距離が多いクルマも増えて走行30万㎞を超えることも珍しくはない。W124シリーズは、メンテナンスすれば10年、20年と長く乗り続けることができるクルマだ。

 また、日本の中古車の品質は世界的に見ても程度が良いものが多く、現在は円安の影響もあり海外からの需要が増加中。そのため多くの優良中古車が海外へと流出してしまっているのだ。

 500E・E500はもちろん、日本に現存するS124(ステーションワゴン)の絶対数も徐々に少なくなってきている。そのため市場価格は上昇傾向にあり、今後価格が下がることは期待できない。現在のS124の中古車相場を調べてみると、程度の良いもので200〜500万円となっている。それだけ高い人気を維持しているという証でもあると言えよう。

 ここで紹介するのは、第2世代に入ったワゴンモデル。大きな特長は、テールゲートを確実にロックするためのクロージングサポート機能が備わったこと。初代ではディーゼルモデルだけだったエンジンのバリエーションも拡大され、ごく一部の愛好家から一般的な存在へと幅広いユーザー層を獲得した。

 当時は中古での並行輸入が大量に行なわれていたほど、高い人気を誇ったモデルだ。セダンの生産終了後も96年まで生産され、この最終モデルは現在も人気が高い。

 今回取材した車両は、1995年式E320ワゴン。外装色はボーナイトで内装は黒本革シートで、走行距離は14万㎞を超えている。オーナーの鈴木孝壽さんは、スキューバーダイビングのインストラクターをしながら18年間このクルマを所有している。仕事柄、潜水機材をクルマに乗せて日本各地へ行き、お客様を乗せることもあるので安全には一番気を使っているとのこと。

 「今では珍しいボーナイトの色とS124のデザインが気に入って買ったんですけど、18年経った今でも飽きないですね。仕事でも使うクルマなのでメンテナンスには気を遣っています。ショックアブソーバーやアキュームレーターなどの足回りを交換してやると走りが別物になったのが驚きでした」

 「贅沢な実用車」から「趣味車の最高峰」へと変わりつつあるW124シリーズ。そのためにもメンテナンスを任せられる主治医の存在がポイントになる。

多くのファンを魅了する斜め後ろからと真横のスタイル。普段のメンテナンスは横浜市にあるアイディングで実施している。専門店ならではのノウハウでW124ライフをサポートしてくれる。

エンジンのタペットカバーパッキンや冷却系のメンテナンスも万全。さらにオルタネーターやエアコンコンプレッサーなどの補器類に加え、エバポレーターやヒーターコアなども交換している。さらにスロットルアクチュエーターなど高額となるメンテナンスも実施済み。熱と経年劣化でボロボロになってしまうボンネットインシュレーターも交換されている。

ダイレクトなフィーリングが魅力の機械式4速ATはオーバーホール済み。段違いのシフトパターンは当時の特許であった。

 

ショックアブソーバーやアッパーマウント、ボールジョイント、タイロッド、センターロッドなど足回りのメンテナンスにも抜かりはない。

フラットで広いカーゴスペース。荷物やペットが前の席へ移動しないように着脱式のカーゴネットが標準装備されている。トノカバーも付く。

スキューバ—ダイビングのインストラクターである鈴木孝壽さん。仕事からプライベートまでこのクルマを相棒にしている。

【撮影協力】●オーナー:鈴木孝壽氏