ハイパワーなれど快適性を犠牲にしないのがアルピナ流
ブルーとグリーンのアルピナステッチ、ブルーのメーター、そして明るいカラーかつ上質なウッドパネル。下品なギラギラ感を一切感じることはなく、上質なアルピナ感を演出している。加えて、取材車両は新車時のオーナーが200万円以上も投じたオプションが付く。ブルー/ブラックのラバリナレザーシート、アルピナパイピング、シフト&サイドブレーキのブーツカバーなど、オリジナルを崩すことなくアルピナらしさを強調したインテリアとなっている。
パワーユニットは510psという圧倒的なハイパワーと71・1㎏‐mという分厚いトルクを発揮する、スーパーチャージャー付きの4・4ℓのV8。アクセルを踏めば怒濤の加速を味わうことが可能であり、さらにステアリングに備わるアルピナ自慢のスイッチトロニックを駆使すれば、ワインディングも積極的に楽しめるマシンへと変貌する。
アルピナB5の本領を発揮するのはここから。怒濤のパワーやアグレッシブな走りを味わっている時でさえも、その乗り味はしなやかであり、路面のギャップなども巧みにいなしてくれるのだ。フロントは245/40R19、リアは275/35R19という大径&扁平タイヤを履いているにもかかわらず、突き上げ感は少なく、ステアリングが轍に取られることもない。古くからこの手のタイヤを履くアルピナは、それを上品に履きこなすサスペンションチューニングを熟知している。これぞ、アルピナマジック。同乗者に不快な思いをさせることなく高速移動ができる、数少ないスポーティサルーンなのである。
派手なエアロパーツこそ付かないが、伝統のゴールドデコラインと22本のフィンスポークホイールが、アルピナであることを主張する。今回撮影した希少なこの物件のコンディションは、極上と呼べるものであった。
アルピナブルーと明るめなウッドパネルが高級感を演出しているインテリア。ラバリナレザーのツートンカラーシート、シフト&サイドブレーキブーツ、コンソロール回りのアルピナステッチは前オーナーの特注によるもの。ATはスイッチトロニック付き。
アクセルを踏んだ瞬間から怒濤の加速を示す
昔ながらのメカニカルチューニングのみならず、過給器の装着といったチューニングも古くから行なっていたアルピナ。とはいえ、それまではターボを選択することが常套手段だったが、B5では4.4ℓのV8にラジアルコンプレッサータイプのスーパーチャージャーを装着。最高出力510ps/5500rpm、最大トルク71.4kg-m/4250rpmというスペックは、レーシングユニット直系のV10を搭載していた同世代のM5を凌ぐ数値なのである。
06年式 B5
●全長:4855㎜ ●全幅:1845㎜ ●全高:1470㎜ ●ホイールベース2888㎜ ●トレッド(前):1560㎜ ●トレッド(後):1560㎜ ●車両重量:1790kg ●エンジン方式:V8DOHC+S/C ●総排気量:4398cc ●最高出力:510ps/5500rpm ●最大トルク:71.1kg-m/4250rpm ●トランスミッション:6速ATスイッチトロニック付