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【 GERMAN SPECIAL CARS!! vol.15 至福の時間を特別なクルマで。/ 究極の趣味車生活!! AMGクーペとワゴンの二刀流 】

クルマ趣味を極めようと思うと時代を遡るという話を聞いたことがあるが、ここで紹介する三河さんはメルセデスW124世代のAMGを2台所有している。ここまでに至った経緯やその魅力を聞きながら、今や希少な存在である300CE3.4とE36Tのキャラクターについて解説していきたい。

 

日に日に増していった
憧れのAMGへの想い

 まさに夢を叶えたと言っても過言ではない、W124世代AMGの2台所有。しかも、クーペとワゴンという組み合わせもいい。走りを楽しむためのクーペ、実用性の高いワゴン、自分の気分や用途に合わせてチョイスできるのはとても魅力的だ。
 そんなスペシャルなクルマに囲まれるカーライフを送っているのが、三河さん。お父様が大のメルセデスファンでW123を10年、W124を15年ほど所有しており、常に身近な存在としてメルセデスとともに歩んできたという。
 そんな時に出会ったのが、クーペの300CE3.4リミテッドだった。
「はじめはノーマルの124で良いので、一度乗ってみたいと思っていましたが、どうしてもAMGへの興味が増してきたのです。まずE36Tから探しましたが、到底見つからない。そんな時に横浜のアイディングさんでジャパン物のクーぺと出会い購入することに。E36Tは、偶然ガレージカレントさんで見つけ購入しました。2台所有に至ったのも、どうせならできるうちに乗りたいものに乗ろう。自分のクルマ人生の中で90年代AMGを2台所有した歴史も刻みたい。そんな思いで決意しました。メンテナンスのことは後から悩もうと。事実、どちらのお店も対応してくれるので安心です」
 クルマ好きとしての熱い想いが後押しして叶えた夢の2台体制。AMGのメカニカルチューンが施されたエンジンに心底惚れ込んでいる三河さんであった。

124世代のAMGを2台所有している三河さん。エレガントなクーペと実用性の高いワゴンという組み合わせが魅力的。クルマ好きにとっては羨ましい限り! クーペ、ワゴンともにリアからのスタイルがお気に入り。派手なワイドバージョンではなく、ノーマルに近いルックスである点も三河さんのこだわりとのことだ。
 

チューナー時代のAMGによる絶品のメカニカルチューン

300CE3.4クーペには機械式インジェクション仕様のDOHCエンジンを積んだ300CE-24を、3314ccにスケールアップしたAMGユニットが搭載される。エンジンの内部パーツ以外は純正のままなので維持しやすい。ワゴンのE36Tには、M104ユニットのボアを1.1㎜削って拡大、ストロークを8.4㎜延長したAMGユニットを搭載。基本的には、300TEの時代と同じブロックを限界近くまで拡大した3605㏄の排気量を持つ。エンジンの外観としてはヘッドカバーのAMGエンブレムと吸気パイプの「3.6」の刻印程度しか識別点がないが、中身は別物だ。チューナー時代のAMGが最後に作った直6としてフリークには人気が高い。
 

1992y AMG 300CE 3.4 Limited Edition

無理なく楽しめるメカニズムが魅力

クーペの完成されたエレガントなボディラインのまま、チューナー時代のAMGのエアロパーツ、ブラックアウト化、チューニングエンジンが搭載された300CE3.4。ワイドバージョンでは派手過ぎるという人にとってもベストな選択だと言える。
トランクスポイラーが当時のAMGらしさを思い起こさせる。AMGジャパン限定50台のリミテッドエディションのデコラインも備わる。
 

エアロとブラックアウトで武装した
ナローボディ

 独立チューナー時代のAMGを愛好する人にとって、その出で立ちはクルマを選ぶ上での重要なファクターに違いない。外観は限りなくノーマルに近い、いわゆる「羊の皮を被った狼」的なチューニングカーを好む人もいるが、AMGフリークであればヒグマの皮くらい被せたいところではないだろうか。「力強さこそカッコ良さだろう!」というシンプルな発想と魅力に溢れている。300CE3.4クーペといえばリアフェンダーが大きく張り出したワイドバージョンのインパクトが強すぎるため印象に残りやすいのだが、ここで紹介するのは通常のボディ。とはいえ、フロント、サイド、リアにエアロパーツを装着し、グリルやその上に誇らしげに備わるスリーポインテッドスターもブラックアウトされ、ノーマルとは全く違う特別な印象となっている。300CEのワイドバージョンは完全な叩き出しによるボディメイク。手仕事による加工という贅沢な手法は、少量生産のハウスチューナーだったからこそ可能であった。ちなみに、ワイドバージョンを選ぶと320万円の価格アップだった。
 エアロとブラックで武装したエクステリアからは当時の荒々しいAMGの強さを感じるが、搭載されているのは直6のファインチューニング版なのである。当然AMGによるメカチューンの効果は絶大で、快音と共に吹け上がる直6のフィーリングはたまらない。トルクで引っ張るV8ユニットとは全く違うフィーリングだが、維持の面においては有利となるケースが多い。同世代のW124のような感覚で維持できる希少なAMGだと言えるだろう。

AMGデザインの4本スポークステアリングや280km/hスケールのホワイトメーターが装着されたインパネ回り。今ではこうした専用品は希少品だ。グローブボックスやシフト回りなどに追加された上質なウッドパーツが独特な印象を与える。往年のメルセデスらしい質感の高さが感じられる。レカロシートによる安心感の高いサポート性も、スポーツドライビングには心強い味方となる。
貴重なAMGホイールもきれいな状態で維持されているのが好印象だった。インテリアのウッドパーツも触るのを躊躇するくらい、新品のような艶を保っている。
ベースとなっている3ℓの24バルブユニットは、実はAMGが技術協力して開発されたものだと言われている。これにメカニカルチューンを施すことにより、最高出力272ps/6500rpm、最大トルク34.1kg-m/4500rpmを発揮。
 
主要諸元

●全長×全幅×全高:4670mm×1840mm×1370mm ●ホイールベース2715mm●トレッド前/後:1525mm/1540mm ●車両重量:1610kg ●エンジン方式:直6DOHC ●総排気量:3314cc ●ボア×ストローク:91.5mm×84.0mm ●最高出力:272ps/6500rpm ●最大トルク:34.1kg-m/4500rpm

 

1995y AMG E36T

ヤングクラシック世代の希少なAMGワゴン

趣味と実用性を両立できるヤングクラシックとして人気のS124をベースにAMG流に仕立てたエクステリア。正規輸入された1995年式はわずか35台。そんな希少性もE36Tの大きな魅力になっており、所有する満足感を高めてくれるストーリーだ。
直線的で端正な124のフォルムに非常に良くマッチしているAMGのエアロパーツ。このリアからのスタイルに魅了されるユーザーは多い。
 

カッコよくて維持しやすい
人気のAMGワゴン

 メルセデスのミドルサイズでは、ワゴンの人気が非常に高い。ただ面白いのは、かつてのボルボエステートのように新車からしてワゴンばかりが売れるというわけではなく、シェアとして見ると15%にも満たないのだ。700万円クラスの予算を用意できる層にとっては、やはり落ち着いたセダンこそ王道なのだろう。ところが中古車となると人気は逆転する。ユーザー層が若くなるのも理由の一つだろうが、少ないワゴンを取り合うような状況となるのだ。
 AMGにおいてもまったく同様で、デビューとなるS124の前期モデルからM103ユニットを3.2ℓに拡大した230TE/300TE3.2が販売されてはいたものの、とにかく数が少なく希少な存在。売り物などほとんど出回らず、エアロパーツを組んだ「仕様」の人気が高かった。そして94年のマイナーチェンジによって誕生したのが、ここで紹介するE320T3.6である。
 エンジンはM104型の直6DOHCニットをC36と同様のAMG製とし、足回りにもリアの調整式ショックも含めて専用パーツを採用、さらにエアロパーツを組んだコンプリートだ。ワイド仕様のような派手さがあるわけでも、圧倒的な高性能というわけでもない。ところが、頂点と言えるW124・E60にも迫るほどの人気があるモデルだ。
 AMGコンプリートではあっても普段の足として普通に乗れて、見た目も文句なしにカッコイイ。維持やメンテナンスにおいてもそれほど難しくないから、現実的なチョイスとして考えるとこのクルマの人気が高いのは納得できる。

フロント、サイド、リアのエアロパーツに加えて、オーバーフェンダーが特別なクルマであることをアピールする。
280km/hスケールのAMGロゴ入りスピードメーターと灰皿部分のロゴが識別点となるインパネ回り。逆に言えば、それ以外はE320ワゴンと大きな相違点はない。シンプルで使い勝手に優れ、エアコン、パワステ、パワーシートなど基本的な快適装備は揃っている。
280km/hスケールのAMGロゴ入りスピードメーター。走行距離は10.2万km。この世代のメルセデスにとってはまだまだ通過点である。
AMGジャパンによるディーラー車であるため、カーゴルームの床板を裏返せば2名分のサードシートが登場する。進行方向とは逆に座ることになるが意外に重宝する。
W124の後期型から搭載されたM104型直6ユニットをベースに、AMGのメカニカルチューンが施されている。排気量は3.6ℓで最高出力271psを発揮するAMGユニットだ。
 
主要諸元

●全長×全幅×全高:4780mm×1770mm×1465mm ●ホイールベース2800mm●トレッド前/後:1505mm/1510mm ●車両重量:1720kg ●エンジン方式:直6DOHC ●総排気量:3605cc ●ボア×ストローク:91.0mm×92.4mm ●最高出力:271ps/5750rpm ●最大トルク:39.2kg-m/3750pm