スペシャリストに聞く
素材の選び方と個性の演出
カスタムはアレンジ次第で無限の可能性を生み出す
日本車の内装といえば、ほんの十数年前までファブリック一辺倒で、一部の高級車とされるクルマにしか革張りの内装など選べなかった。ドイツ車では、コンパクトでもグレードが高いオプションに革の内装が選べたりする。ところが、BMW(E46)の新車当時、日本で売られていた車両の大半の内装がファブリックだった。それを革に張り替えてみると、プレミア感をさらに高めた仕様で乗る人が増えてきた。それはやはり、革の内装への憧れが潜在的に日本にもあるということを池田氏は実感したという。海外では革の内装がそれくらい身近であり、また主張の手段でもある。そういった文化のあるドイツ車を始めとするプレミアムなクルマ作り、革を用いた個性的かつ機能性を兼ね備えたカスタムインテリアに取り組み続けているのが、兵庫県西宮市にあるニューイングである。
「当社の強みは絶対的に積み上げてきた経験値。例えば、ダッシュボードの張り替えなどは週に1~2台をこなしています。しかも新型のスーパーカーも躊躇なく作業しますよ。BMW i8には2万ボルト、さわるな!危険! って書かれていましたけどね(笑)。」
この他にもディーラーがしたことのないマクラーレンの作業を3日かけて行なったり、最新のクルマをディーラー自身がニューイングに持ち込んで外す作業を依頼するほどである。これは極端な例ではあるが、技術と経験に裏付けされたノウハウの一端だと言える。
愛車をほんの少しグレードアップしてみたいと考えている人にお勧めなのが、カラーシートベルトとマットのカラーコーディネイト。加えて、ファブリックからのグレードアップ感が際立つ皮革化や、革をパンチング地のものと組み合わせて生地の変化を見せるなどのアレンジが人気。単色に飽きたら、今度はステッチパターンや糸の色などもコーディネイト。シートを色分けで構成してみたりと自身の愛車作りに無限の方向性を与えてもらえる。
ニューイングでは自社で編み出した「ウィングステッチ」というパターンを特許として取得している。美しいデザインであることはもちろん、縫い目模様の密度の差によってできる生地の反発を生かした腰痛改善のためのサポートまで考慮した作りになっているのだ。見せるだけの内装より一歩進んだ考えを持つ同社のインテリアに施されたカスタムには、独自の哲学を感じ取れる。
もうひとつ、ドイツ車では装着率が高い革シートだが、そのお手入れについてはこう話す。
「アルカンターラ生地のような起毛タイプでその起毛が見られなくなった場合、50℃くらいのお湯にタオルを湿らせ、固く絞ったもので拭くだけで起毛が復活します。完璧とまではいかなくても見た目はだいぶ変わります。革シートの汚れも何も付けずお湯につけて硬く絞ったタオルで拭くことを普段からまめに心がけるだけで良い状態を維持できます。」
素材からステッチまで個性を打ち出したいなら、まずはニューイングに相談してみよう。