【 ドイツ車メンテ名店ガイド vol.09 直せる部分はバラしても直す職人魂と現代整備を両立する / WAIBLINGEN バイブリンゲン 】
数多くの輸入車の駆け込み寺として様々なクルマを扱うバイブリンゲン。クルマの進化に対応しながらも、昔ながらの部分修理もいとわない姿勢は、多くのクルマ好きからの支持を集めている。
昔ながらの整備も忘れず
現代のドイツ車に向き合う
東京都江東区、新木場駅から徒歩10分のところにバイブリンゲンがある。創業から36年の老舗ファクトリーで、輸入車専門店として長きに渡り営業している。国籍問わず、輸入車ひと筋で営業してきたこともあり、年式、車種を問わず豊富な実績があるのが強み。熟練のメカニックも在籍しており、今どきの高年式モデルから希少な旧車まで守備範囲は非常に広い。
トラブルに対しての探究心が強く、単に部品を交換するだけではなく、知恵と工夫を駆使して対策してくれるのも嬉しい。例えば、最近多く発生しているNOxセンサーのトラブル。部品代が高く、しかも部品自体も入手しにくいという状況を鑑みて、センサーのみの交換に行き着いた。メルセデスのコマンドコントローラーの不良についても、独自の対策を施した内部部品を開発してしまうなどその探究心には脱帽だ。
今どきのクルマであれば、部品を交換すれば直ることが多いが、代表の伊藤氏はユーザーの負担を軽減するために考え抜いてくれる。その証拠に、バイブリンゲンには工場に入り切らないほどのクルマが入庫してくる。それは、信頼の証と考えてもいいだろう。
他の整備工場ではやらないようなことにも手間と時間をかけて取り組む。結果が出なかったこともあるというが、そういったスタンスが多くのファンを増やすことに繋がっているのだと思う。
都市部でのトラブルが多い
高価なNOxセンサーを
リーズナブルに直す方法を確立!
近年モデルにおいてトラブルが増えているのがNOxセンサーのトラブル。警告灯が点灯するのがパターンなのだが、問題は部品代が高価で1つ10万円以上もする。バイブリンゲンではセンサー部分だけを約半額で交換する方法を確立。だが、それでも直らないケースもあることから、純正価格の差額分を追加することで部品交換にも対応してくれる。※部品入荷次第。
飽くなき修理への探究心が生んだ
コマンドコントローラーの対策パーツ
メルセデス・ベンツW204/W212/W207シリーズで採用されているコマンドコントローラー。上下左右の決定はできるのにダイヤルのみ反応しなかった場合、内部のパーツが折れている可能性が高い。バイブリンゲンではアルミの削り出しで腐食にも強いアルマイト加工を施した独自の対策パーツを開発。通常ではユニットごとの交換となるが、これを使えばリーズナブルに直せる!
ヘッドライト内に水が侵入してしまう
トラブルの原因とは?
近年増えているのがヘッドライトに水が侵入し、曇ってしまうなどのトラブル。ライトの構造的な問題なのか、メルセデスでは純正の除湿剤が用意されている。だがこれもやっかいで経年劣化が進むと吸い込んだ水分を逆に吐き出してしまい、高価なユニットを壊してしまうケースもあるのだ。交換履歴が分からなければ予防として換えておきたい部分だ。
メルセデス・ベンツやBMWなどメーカー専用の
故障診断機で高年式モデルにも対応
バイブリンゲンは輸入車専門ファクトリーであることから世界中のクルマが集まってくる。そのため故障診断機も各種完備しており、メルセデス・ベンツやBMWなどドイツ車の診断機も充実している。「診断機に頼りすぎてはいけない」と話すのは、同社代表の伊藤氏。根本的な原因が他にあることも多いとのことで、こういった知識は豊富な経験によるものだと言える。
From WAIBLINGEN
バイブリンゲン
バンパーを取り外しての作業や、室内の奥に設置されたユニットの交換など、近年モデルはこうした手間がかかる部分があることも確か。クルマの進化と高度な電子制御化は整備の現場にも大きな影響を与えているのである。
スタッフと談笑する伊藤氏。この和気あいあいとした雰囲気もバイブリンゲンの魅力。メンテナンスやカスタムの相談も気軽に乗ってくれる。
FACTORY DATA
バイブリンゲン