多走行車は一般的な中古車に比べて
どれくらい安く買えるか?
中古車選びにおいて重視されることが多い走行距離。ここでは走行距離が中古車価格にどう影響して、その中で多走行車がどれくらい安く買えるのかを調べてみた。
まずはメルセデス・ベンツ先代Eクラス(W211)から見ていこう。中古車市場に流通している人気のE350アバンギャルド全体の平均走行距離を独自に調べた結果5.5万㎞だった。これを一般的な中古車の走行距離とし、多走行車は10万㎞オーバーに絞って中古車相場を比較してみた。
一般的な中古車は走行4~5万㎞で130~220万円であるのに対して、多走行車は100~135万円。参考までに流通している中古車の価格をピックアップしてみると、05年式の走行4.3万㎞で179万円、多走行の10.1万㎞の物件では102万円であり、なんと約80万円も安く買える状況となっている。
BMWはどうか。中古車市場に流通しているE90こと先代3シリーズ全体の平均走行距離は3.6万㎞であり、全体的に走行距離が少ない傾向にある。これを一般的な中古車の走行距離として相場を調べてみると、320iで100~230万円、走行10万㎞オーバーの多走行車では70~80万円だった。代表モデルを見ると、走行3万㎞の06年式320iが130万円、同年式、同グレードの走行10.1万㎞が79万円であり、約50万円もの差があったのである。
さらに、E90をサンプルにして走行距離と流通台数、そして価格の関係について見ていこうE90は現行モデルへの乗り換えが進んだことによって中古車の流通量が増えてきている。中古車として今が旬のモデルとも言えるだろう。
そんなE90の人気グレードである320iの流通量を200台とすると、そのうちの60%は走行1~3万㎞のクルマであり、全体の価格帯としては120~300万円。価格の開きが大きいのは走行1万㎞台の低走行車が多数存在しているからだ。
走行4~6万㎞台の中古車の割合は全体の35%で、相場は90~160万円。この距離帯では新車のような低走行車が該当しないため、相場の上限価格も下がっている。
走行7万㎞を超えると中古車の流通量はガクンと減り、全体の5%程度まで下がる。相場も70~100万円と一気に安くなっている。
つまり、現状においてE90タイプの320iは、走行7万㎞以上が大きく価格を下げるボーダーラインになっているのだ。もちろん、こういった傾向は年式や車種によって異なるが、中古車相場と走行距離が密接な関係であることは間違いない。
こうして見ていくと、多走行車であってもコンディションさえ見極められればとてもお得にドイツ車を購入できるというわけだ。クルマにもよるが、高年式ほど多走行車の流通量は少ない。それゆえモデル選びがとりわけ重要になってくるのだ。
(すべて GERMAN CARS 2014年9月号より抜粋 。相場や「現行型」「先代」などの表記はすべて2014年当時のもの)
多走行車と一般的な中古車の相場を比較
ドイツ車の中でも人気が高いメルセデス・ベンツとBMWをピックアップして、多走行車と一般的な中古車との相場を比較してみた。多走行車は10万kmオーバー、一般的中古車はチョイスしたグレード全体の平均走行距離を基準にしている。中古車は個体差があるのであくまで目安ではあるが、走行距離によって大きな違いがあることを確認できた。
M・ベンツ先代Eクラス(W211)
多走行車なら約80万円安いが、
先代モデルゆえに多走行車の数は少ない
多走行車(走行10万kmオーバー)
E350 AVG → 100~135万円
●代表モデルの例(参考価格)
05年式E350 AVG
走行10.1万km → 102万円
一般的中古車(走行4~5万km)
E350 AVG → 130~220万円
●代表モデルの例(参考価格)
05年式E350 AVG
走行4.3万km → 179万円
( すべて2014年当時 )
BMW先代3シリーズ(E90)
多走行車なら約50万円安い!
流通量は豊富で全体的に距離は少なめ
多走行車(走行10万kmオーバー)
320i → 70~80万円
●代表モデルの例(参考価格)
06年式320i
走行10.1万km → 79万円
一般的中古車(走行3~4万km)
320i → 100~230万円
●代表モデルの例(参考価格)
06年式320i
走行3万km → 130万円
( すべて2014年当時 )