TOP > 記事 > 【次こそは乗りたい! 憧れの絶版名車SELECTION】Selection 02 Mercedes-Benz W126

【次こそは乗りたい! 憧れの絶版名車SELECTION】Selection 02 Mercedes-Benz W126

 憧れのあのクルマはいくらで買える? 維持は大変? ここでは気になる憧れの名車たちのキャラクターついて解説していこう。第2弾はメルセデス・ベンツ 2代目Sクラス(W126)。

 

メルセデスの威厳とともに気品が感じられるスタイル

ドアを開けた瞬間から
何もかもが驚きの別世界

 昭和の時代において、ベンツと言えばこのカタチ。これは間違いないと思う。バブル景気が加速するのと比例して、昭和61年頃から新車価格を上回るプレミア的なプライスが付き始め、持っているだけで資産価値が増え続けるという異常な状況だったSクラス。とくに560SELはとりわけ人気が高くて、ディーラーではいつ納車されるか分からないというありさま。そんなクレイジーな時代背景とは無関係に、とにかく一級品の素材を使って丁寧に作られているのが2代目のSクラスなのだ。
 今のメルセデスに初めて乗ったとしてもビックリするようなことはないが、とにかくこの時代のSクラスは他のクルマとはまるで別モノ。ドアを開けた瞬間から、その重さと建て付け感に驚き、シートに座れば感動し、アクセルを踏んでみれば感激する。グッとノーズを持ち上げて進む野性的な加速感から、防音室の中に居るような空気感まで、何もかもが特別で独特の世界だった。
 今改めてW126を見てみると、いい感じにアクが抜けて、例えるなら「昔は悪かったんでしょ」という中年オヤジのような感じか。もちろんクルマとしての信頼性もまだまだ実用車として十分に現役レベル。暑い日や雨の日はガレージに籠りっ切り、というようなことはない。

メッキを多用したエクステリアは今の感覚で見ると上品な印象を感じさせる。新車当時は押し出しの強さで有名だったW126だが、今ではベンツというアクの強さが抜けてカジュアルに乗りこなせる時期に来ている。560SELのリアサスには車高を一定に保つ油圧式レベライザーが備わる。
なるほど、と思わせる合理的な作りが魅力のインテリア。
エンジンは直6もあるが、メインとなるのはやはりV8ユニット。

旧世代ならではの作りの良さを感じるポイント

贅沢な室内空間を生み出す遮音材
W126に乗ると、独特な空気感が感じられる。その大きな理由になっているのが、音や振動に対する徹底的な追求である。インテリアをバラしてみると大量の遮音材が使われている。コストカットの嵐が吹き荒れる現代においては贅沢な空間なのだ。
 
Profile

世界中のVIPたちが愛好したメルセデスとしても有名な2代目Sクラスは、日本のバブル時代に大ヒット。見た目の派手さよりも、使用する素材や作り込みなど徹底的にこだわり抜いているのが大きな魅力だ。往年のメルセデスらしさを存分に味わえる。

代表的グレード

300SE/420SEL
500SE/560SEL

ボディバリエーションは?

ボディはセダンとクーペが基本で、SELはホイールベースを延長して全長が14センチ長くなったロング版だ。エンジンは直6とV8の2種類で、排気量のバリエーションも豊富にある。

維持していくのは大変なの?

現在流通している中古車は程度の差が激しい。価格重視で選ぶとその後の維持は大変だ。だが、整備履歴の分かる車両であればメンテナンスも進めやすい。

生産期間

1979~1991年
1985年~後期型

主な小変更

●80年、運転席エアバッグをオプション設定(日本仕様は84年から)●85年、ボディサイドのプロテクトモールとバンパー形状を変更する。ロングボディの560SELを追加。●89年、560SELの最高出力が40psアップする。

 

Specifications      89年式560SEL

全長           5160㎜
全幅           1820㎜
全高           1445㎜
ホイールベース      3070㎜
トレッド(前)      1555㎜
トレッド(後)      1525㎜
車両重量         1770㎏
エンジン方式       V8SOHC
総排気量         5546㏄
最高出力         285ps/5200rpm
最大トルク        44.8㎏-m/3750rpm
トランスミッション    機械式4速AT

 

※GERMAN CARS 2016年4月号特集より